【導入事例】請求書の出力が新システム導入でインボイス制度に対応可能に
2023年5月に経済産業省が公表した「製造業を巡る現状と課題 今後の政策の方向性」の資料によると、日本の製造業は、海外進出を進めるために海外法人の設立や合併・買収などに力を入れてきた結果、トップクラスのグローバル企業を除いて、サプライチェーンの複雑性が課題となっていることが明らかになりました。
その背景には、企業内で運用されている個別のシステムやデータが古くなり、 各情報の一元管理が出来ていないことが要因のひとつとして挙げられます。
三重県に拠点を持つA社は、自動車部品を製造している企業です。
こちらの企業は、2008年以前から請求書や明細書を作成するソフトウェアを使用しており、今回、インボイス制度に対応した新しいシステムの導入に関して、サンエルに相談をいただきました。
導入前の課題
インボイス制度に対応したシステムが必要になった
2023年10月1日から始まった「インボイス制度」とは、「適格請求書保存方式」ともよばれ、消費税の仕入税額控除の適用を受ける仕組みです。
また、2024年1月1日からは、電子取引の書類は紙で保存することができなくなる完全義務化が始まりました。
A社のシステムは、インボイス制度に対応した紙の請求書の出力が難しい状況に直面していました。このため、最優先の課題として、インボイス制度に準拠した請求書を出力できるようにすることが必要でした。
また、A社では従来、取引先から請求書を受け取る代わりに、お客様に代わって伝票を発行し、取引先がその伝票に捺印してA社に戻すという手続きが慣習となっていました。
しかし、2023年10月にインボイス制度が導入されることになり、取引先に対して従来の請求書発行方法を変更することが困難な状況に直面しました。この変化に対応するためには、インボイス制度に準拠したフォーマットで請求書を生成できる新しいシステムの導入が不可欠でした。
【サンエルが選ばれた理由:新システム導入の決め手】
出力フォーマットの細かい指定ができるサンエルに依頼
A社の以前のシステムでは、製造で使う原材料や部品によって出力する取引明細書のフォーマットが異なっていたため、新システムの導入を機にフォーマットの統一化を実現したいというご要望がありました。
当初は、サンエルを含めた3社にご相談されていましたが、サンエル以外の2社はパッケージ製品を提供しており、出力フォーマットについて細かな指定が難しい状況でした。
コストと開発期間、業務フローの兼ね合いを考慮し、従来の紙のフローを生かすといった柔軟な対応ができるのは、サンエルの独自開発ならではの特長です。
この経緯をふまえ、パッケージ製品では実現できないシステムを構築できるという理由でサンエルにご依頼いただくことになりました。
【今回のシステム導入による成果】
従来のシステムは、新たに別のPCで作業する場合に、ソフトウェアのインストールなど、環境準備の手間がかかっていました。
しかし、今回ご提供したシステムは、Web上で動くシステムのため、環境準備が不要になりました。
その結果、パソコンの故障や不具合が発生した際に、代替機の提供プロセスが、以前に比べて格段に効率化され、生産性の維持・向上が可能になりました。
【システム導入後の気づきと今後の展望】
導入後、より使い勝手を良くするために、複数事業者の帳票をZIPファイルで一括ダウンロードできる出力機能を追加しました。
出力元となる入力ファイルには、複数の顧客のデータが含まれており、初期導入時には、各顧客ごとにPDFファイルをダウンロードする形で実装しました。ただ、入力ファイルに含まれる顧客数が多く、ダウンロード作業の手間を減らすため、追加開発を行いました。
A社の今後の展望として、長期間使用しており、システムとして現状の環境での運用が難しくなってきたため、製造管理システムの刷新を検討されています。
このたび、サンエルは帳票出力システムの提供をさせていただきましたが、単にシステムの運用・サポートに限らず、A社との緊密な連携を通じてデジタル化とDXの推進に取り組み、それを通じて三重県の地域経済の発展に貢献することを目指します。