老朽化した帳票管理システムを刷新、柔軟な運用と業務負荷軽減を実現
自動車部品の開発・製造を手がけるあるメーカーでは、既存の帳票管理システムがインボイス制度に準拠した請求書の発行に対応していなかった。また、長年使用されてきたシステムは、制度変更への柔軟な対応が難しい状況にあった。
これらの課題を解決するため、当社は新たな帳票出力システムを構築。新システムでは、インボイス制度に準拠した請求書の発行が可能となり、帳票デザインの統一や業務負担の軽減など、運用面での改善も実現した。
業種 | 自動車部品の開発・製造メーカー |
目的 | 業務管理 |
システム名 | 帳票出力システム |
クライアントの課題
インボイス制度への対応が求められる中、適格請求書を出力できる新たなシステムの導入が急務となっていた。また、帳票ごとにフォーマットデザインが統一されておらず、視認性や運用上のまとまりにも課題があった。さらに、従来使用していた帳票作成システムは16年以上前に導入されたもので、メンテナンス可能な担当者もおらず、障害発生時の対応に支障をきたすリスクを抱えていた。加えて、複数の顧客データを含むファイルからPDFを1件ずつ手作業でダウンロードする必要があり、出力作業に手間がかかっていた。
主な課題
課題 | 詳細 |
---|---|
インボイス制度に対応できない | 従来の帳票作成システムでは、インボイス制度に準拠した帳票出力ができず、制度対応に不安が残っていた。 |
帳票のフォーマットデザインが統一されていなかった | 帳票ごとにデザインが異なり、視認性や運用上のまとまりに課題があった。 |
古いシステムで運用リスクが高い | 使用していたソフトウェアは16年以上前のもので、メンテナンス担当者も不在となっており、障害発生時の対応に支障をきたすリスクを抱えていた。 |
PDF出力に手間がかかる | 複数の顧客データを含むファイルから、PDFを1件ずつ手作業でダウンロードする必要があり、業務負担が大きかった。 |
実施内容
従来のシステムでは、インボイス制度に準拠した帳票出力ができなかったため、制度要件を満たす帳票が作成できるよう新たな出力機能を構築した。また、帳票のフォーマットデザインも統一されておらず、視認性や整合性に課題があったため、部品や原材料ごとの仕様は維持しつつ、レイアウト面での統一を図った。加えて、要件や予算に応じた最適な対応を行うべく、スクラッチ開発によって柔軟かつ効率的な仕組みを構築した。
さらに、導入後は、より使い勝手を向上させるため、複数事業者分の帳票をZIPファイルで一括ダウンロードできる出力機能を追加。出力元となる入力ファイルには複数の顧客データが含まれており、初期導入時は各顧客ごとにPDFを個別にダウンロードする仕様だった。しかし、入力ファイル内の顧客数が多く、ダウンロード作業の手間がかかっていたため、これを解消すべく追加開発を実施した。
今回の方針
今回、インボイス制度に対応しつつ、部品や原材料ごとの出力仕様を維持したまま、フォーマットデザインを統一した。
パッケージソフトは、初期導入費が比較的抑えられる一方で、実際には不要な機能も含まれていることが多く、運用や保守にかかるコストが積み重なりやすい。 さらに、部分的な改修を行おうとしてもカスタマイズの自由度に制限があり、要望どおりの変更が難しいケースもある。 こうしたリスクを回避し、必要な機能に絞った柔軟な対応を実現するため、今回はスクラッチ開発を選択した。
既存業務フローとの整合性を重視し、必要最小限の改修により顧客要件を満たす対応を行った。
方針内容 | 概要 |
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仕様維持とフォーマットデザイン統一 | 部品種別の仕様を維持しつつ、フォーマットデザインの統一とインボイス対応を実現 |
コストを意識した実装 | 必要な機能に絞った開発で、新しいシステムの導入コストを抑制 |
現場の業務フローに寄り添う柔軟な開発対応 | 既存業務フローとの整合性を重視し、スムーズな移行と運用定着を支援 |
導入後の成果
インボイス制度への対応がスムーズに運用されるようになり、帳票出力の制度適合に関する不安が軽減された。 また、帳票のフォーマットデザインも統一されたことで、出力物の見やすさが向上した。
加えて、従来使用していた老朽化したシステムからWebベースの新システムへと移行したことで、障害時の復旧対応や保守面でのリスクも抑えられる体制が整った。 さらに、PDFを一括で出力・ダウンロードできる機能を追加したことで、これまで手間のかかっていた帳票出力作業の効率も改善された。
以前の課題とサービス導入後の変化
以前の課題 | 導入後の成果 |
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インボイス制度に対応できない | インボイス制度に準拠した帳票出力に対応 |
帳票のフォーマットデザインが統一されていなかった | フォーマットデザインを統一することで、帳票の確認や管理がしやすくなった |
古いシステムで運用リスクが高い | Webシステム化により、メンテナンス不要かつ障害時の業務継続性が向上 |
PDF出力に手間がかかる | PDFの一括出力・ZIPダウンロード機能により、作業負担を軽減 |